はじめに
「研修を開催しているが、本当に効果があるのか分からない。」
「アンケートで満足度は高かったが、その場限りになっていないか心配。」
研修担当者様から、このような声を耳にすることがあります。
この記事では、効果が出ない研修とはどんな研修か? をお伝えします。
目次
-欲張りすぎに注意
-効果検証ができない曖昧な目標設定
-ラーニングピラミッド理論
-自分事して捉えられているか?
-事前課題・事後課題
-上司のフォローが不可欠
-上司向けの課題や案内
1.明確な研修目的が設定されていない
欲張りすぎに注意
研修の効果を出すためには、「研修目的の設定」が欠かせません。
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このような課題が上がることは当然かと思いますが、一度にこれら全てを改善しようとしても、上手くいくことは稀です。
特に半日~1日の研修であれば尚のこと、習得できる内容には限りがあります。
良いとこ取りの欲張った研修をしようとするほど効果は散漫となり、結局何も変わらないという結果になりかねません。
効果検証ができない曖昧な目標設定
目的の達成のために、研修の効果検証ができる指標を設定しましょう。
指標がなければ、「研修の効果が出たのか?」「来期も実施すべきか?」「何を改善すべきか?」ということを、的確に判断することができません。
研修効果が出たのか?と不安な方は、この指標が曖昧な場合があります。
その場合、「離職率の低下」といった長期的な目標や、「売上を上げる」といった研修の成果か判断できない目標を設定している場合があります。
「来月の1on1の実施率」
「今月のクロージング成約率」
「〇月〇日の△△試験合格率」
このように、短期的に効果検証可能な数値目標の設定をしましょう。
2.学習を定着させられていない
ラーニングピラミッド理論
ラーニングピラミッド理論とは、学習方法と学習定着率の関係をピラミッド型で表した理論です。
National Training Laboratories(アメリカ国立訓練研究所 (NTL))の研究によるもので、研修設計をする上で欠かせない考え方となります。
ラーニングピラミッドでは、以下のように7段階で学習方法と学習定着率を表現しています。
【ラーニングピラミッド】
ピラミッドの下向きに学習方法を取っていくことで、学習定着率が100%に近づいていきます。
ラーニングピラミッドによると、講師からの一方的な講義では、学習定着率は5%ほどとされています。
つまり、研修効果を高めるためには、実演やグループワーク、グループディスカッション、ロールプレイングを盛り込むことが必須と言えます。
講義が2~3割、ワーク等が7~8割の配分での設計が適切です。
自分事して捉えられているか?
どんなに良い内容の研修をしても、参加者本人が「学ぼう」としない限り、学習の定着はできません。
「研修に参加しただけで、満足して終わり」となってしまいます。
それを防ぐために、
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などの工夫をして、参加者に自分事として学ぶ意識を植え付けることが重要です。
また、【エビングハウスの忘却曲線】では、1時間で50%を忘れ、24時間で70%を忘れ、1週間後には90%を忘れてしまうと言います。
研修の場では理解して記憶したとしても、それを保つことは不可能です。
ですから、記憶を保持するためには「反復学習」が必要です。
本人に学びたいと思わせること、そして研修後のフォローができていないせいで、効果が出ていない可能性があります。
事前課題・事後課題
講義内容だけを工夫しても、目標に直結する効果を出すことは困難です。
参加前(事前課題)~参加後(事後課題)まで、一連の流れを考えて設計しましょう。
■事前課題
参加者に自分事として考えさせるために、今の状況整理をさせる
研修中のワークを身近なものにするために、事前に準備をさせる
このような課題が効果的です。
■事後課題
アクションプランの作成
上司や職場スタッフへ研修での学びをアウトプットする
などの課題が効果的です。
アクションプランについては、1度で終わらせず、その後の経過や結果報告までを記入させてもいいでしょう。
3.研修成果の責任が不明確
上司のフォローが不可欠
研修参加者が成長できるかどうかの最終的な責任は、「直属の上司」が負うべきです。
部下の育成の責任は上司にあります。
「人事部が行う研修や、Eラーニング等の教育ツールの提供は、上司が部下の育成をする上での補助ツールである」と考えるべきです。
研修に参加して、「現場に戻って早速実践しよう!」「さらなる学びのために勉強しよう!」と思うのは、元々放っておいても勝手に努力ができる優秀層だけです。
一般的には、2割程度です。(2:6:2の法則)
優秀層以外の8割の方に対しては、上司の関り方次第で研修で効果を出せるかどうかは決まってきます。
研修参加前に、事前課題や試験などの準備を部下にさせているか?
研修参加後に、部下から学びを聞いてアウトプットさせているか?
研修で習得したことを実践させる機会を与えているか?
このようなことを上司が行っていなければ、最終的に研修の内容は薄れていくことでしょう。
上司向けの課題や案内
参加者の中には、課題を出しても提出しない方もいるのではないでしょうか?
先程お伝えしたように、上司の関り方次第で研修で効果を出せるかどうかは決まってきます。
そうは言っても、研修担当者として何もしないわけにはいきません。
まず、事前事後課題に必ず上司のフィードバックを入れるなどして、「上司を巻き込んだ課題」を与えることができます。
更に、研修時には参加者だけでなく「上司宛の案内」も出しましょう。
「研修ではこのような課題を与えるのでフィードバックをお願いします。」
「研修での学びを部下から聞いてください。」
「研修では〇〇を教えています。現場で実施した上でのレポートを求めているので、実施時間の確保をお願いします。」
このような内容で、上司の協力を仰ぎましょう。
人事部の影響力が強い場合は、部下の研修への関わり方を上司の評価に入れることも有効です。
おわりに
研修の成果が出ているか不安な方は、
明確な研修目的が設定されいるか?
学習を定着させられてるか?
研修成果の責任が不明確になっていないか?
これらのことを、一度確認してみましょう。
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